| 臓器移植患者団体連絡会2008年活動報告 |
厚生労働大臣に要望書提出・折衝 臓器移植患者団体連絡会では、毎年春と秋の2回、厚生労働大臣に対し要望書を提出し、各部門の担当者と折衝を行っています。
平成20年は、4月24日(木)午後3時30分から要望書提出と折衝を行いました。
平成20年4月24日
厚生労働大臣 舛添 要一 様
臓器移植に関わる要望
貴台におかれましては、常々移植医療推進にご理解、ご協力を賜り誠にありがとうございます。私達は、臓器移植にかかわる患者および家族の5団体12万人で構成する会です。1995年よりともに力を合わせ臓器移植の普及啓発を目的として活動しております。
現臓器移植法には、3年を目処に見直すとの条文がありながら、すでに10年半を経過しようとしております。また一昨年3月に改正案が衆議院に提出されたのにも関わらず、昨年12月に厚生労働委員会小委員会において参考人質疑が行なわれたのみで、それ以後国会において全く審議が行われていません。
この間脳死下での提供は、少しずつ増加をしておりますが、今までに67例に過ぎません。また現行法では臓器提供に書面による意思表示を必要とするため15歳未満での提供ができず、子どもたちは、危険を冒し膨大な費用をかけ海外に渡航せざるを得ません。また最近は、年齢を問わず国内での移植をあきらめ渡航する患者もあとを絶ちません。しかし、そのような機会を得られる患者は極めて少なく、この10年間に心臓で約4千人、肝臓で約1万5千人が亡くなっていると推定されています。その他の臓器を含めますと2万人をはるかに超える方々が亡くなってしまいました。また献腎移植も年間200例にも満たない状況が続いており、最近では中国やフィリピンなどアジア諸国への渡航移植が急増し、臓器売買や病腎移植などの諸問題が起こっております。WHOや国際移植学会からは、渡航移植を強く非難され、臓器の自給自足を進めるよう勧告されています。
一昨年度より政府管掌保険カードや幾つかの保険者のカード裏面に臓器提供意思表示欄が設けられるようになり、またインターネットによる提供意思の登録も行われています。しかし昨年1月に内閣府から発表された世論調査によりますと臓器提供意思がある人が40%を超えたにも関わらず、意思表示カードの所持率は10%に達していません。前回調査同様に80%の人が臓器移植に関する情報が不足していると回答しています。普及啓発は、現行法においても国及び地方自治体の責務とされていますが、まだとても十分とはとても言えません。国および地方自治体は、国民への普及啓発活動をより積極的に行なうとともに、提供施設へ向け理解、協力を働き掛けなければなりません。そのためにも全ての都道府県に専任のドナーコーディネーターを置き、提供施設において院内コーディネーターの設置を進め、体制整備を行なう必要があります。
この度の診療報酬改定では、生体肺移植術や腹腔鏡腎摘出術、ドナー管理料などが新たに健康保険適用されました。このことは大いに評価できますが、生体腎移植術の診療報酬がマイナス40%と大幅に削減されました。我国では、献腎移植があまりにも少なく、それを補う意味からも生体腎移植は、腎不全に苦しむ患者にとって希望であり、欠かすことができない医療です。私たちは、この様な大幅な診療報酬の削減が患者へのケアーの低下につながるとともに、移植成績の低下や移植機会の減少につながることを憂慮しています。今後の診療報酬及び薬価の改定においては、膵臓及び膵島移植への提供を広げるとともに、患者のケアーに支障がきたさぬよう配慮してください。
私たちが常に申し上げていますように、臓器移植医療においてもっとも重要なことは、ドナー、ドナー家族への国家的な顕彰と精神的なフォローや支援体制の整備の充実です。ドナー、ドナー家族を国が支え、国民から尊敬される社会の形成なくして、臓器移植の普及はありません。本年においては具体的な施策をお示しください。
私達は誰もが必要とする時、安心して移植が受けられる社会の実現をめざしております。貴台におかれましては、私達の要望にご理解を賜り、速やかに実行していただきますよう、切にお願い申し上げる次第です。
臓器移植患者団体連絡会 代表幹事 大久保 通方
(社)全国腎臓病協議会 会長 油井 清治/全国心臓病の子どもを守る会 会長 斉藤 幸枝
胆道閉鎖症の子どもを守る会 代表 杉本 紀子/NPO日本移植者協議会 会長 鈴木 正矩
ニューハートクラブ 代表 都倉 邦明
臓器移植に関わる要望
1.臓器移植法は、条文で3年を目途に見直すと記されているのも関わらず、既に10年5ヶ月が経過し、一昨年3月に提出された改正案もまだ審議さえされていません。厚生労働省としても「生前の本人の意思を尊重しつつ、本人が提供拒否の意思表示がないときは、家族の同意にて提供できる」A案の成立に向け積極的に関与してください。
2.厚生労働省は、臓器移植医療の推進を国の施策として充分な予算処置を行い、地方自治体と協力し、脳死及び臓器移植について国民に理解を得られるよう、マスメディアをはじめ、あらゆる機会を通じ積極的かつ継続的に普及啓発活動を行ってください。
臓器移植の普及啓発はまだまだ不十分です。前回に引き続き昨年1月に発表された内閣府の世論調査でも80%の方が臓器移植に関する情報が不足していると回答しています。
3.国及び日本臓器移植ネットワークは、臓器提供家族に対する精神的フォローや支援体制を整備、充実させるとともに、臓器提供者を顕彰し、広く国民に臓器提供者への理解が進むよう施策を行なってください。
臓器移植は、提供者なくして成り立たない医療です。しかしながら我が国では、今でも臓器提供者のご家族が、いわれのない非難を浴びたり誤解をされたりし、精神な苦痛を経験した方も少なくありません。我が国に臓器移植医療を定着させるためには、臓器提供者とそのご家族が尊敬と称賛を受ける社会の実現が不可欠です。毎年国をあげてドナー、ドナー家族を感謝、顕彰する会を開催してください。臓器提供者のご家族をフォローするシステム、体制の整備が緊急に必要です。
4.都道府県移植コーディネーターを全員専任とするとともに、活発な地域においては複数のコーディネーターを設置できるよう予算措置をしてください。
また都道府県移植コーディネーターが都道府県の枠を超え活動できるようにするとともに、日本臓器移植ネットワークコーディネーターと円滑に連携活動できるよう体制整備を行なってください。
5.都道府県における活動が重要です。都道府県に対し積極的にドナーアクションプログラムを実施し、院内コーディネーターの設置など提供病院の理解、協力をえられるような体制整備を行なうよう強く指導してください。
ドナーアクションプログラムや院内コーディネーターの設置、提供施設への働きかけ、各施設間における情報の共有化、一般普及啓発など都道府県の取り組み方に大きな隔たりが生じています。成功事例の情報を他の都道府県へ伝え、積極的に活動するよう指導してください。
6.救急救命等の提供施設において、臓器提供可能な患者が発生した場合、家族に対し必ず提供意思の有無を確認することを制度化してください。現状においては、少なくとも意思表示カードの所持の有無を確認するよう強く指導してください。
いくつかの自治体においては、独自のパンフレットを制作し、臓器提供の説明や意思表示の有無の確認に役立てています。他の自治体でも、提供施設が意思表示を確認できる環境を整えてください。
7.4類型以外で施設であっても救急救命医療の体制が充分整い、脳死判定が可能な施設においては、脳死下での提供を認めてください。また国民の信頼を得るために臓器提供施設においては、医療従事者の増員を行うなど救命救急医療の充実を図ってください。提供施設の負担を軽減するために脳死判定を支援するチームやドナー管理を行なうチームを派遣する体制を作ってください。
臓器提供においては、提供施設の体制整備が最も重要であり、緊急に行なわなければなりません。また提供施設の拡大も重要です。新たに審査認定を行うなど具体的な施策を実行してください。8.より確実に臓器提供の意思を活かせるように、提供意思登録制度の充実を図ってください。また政府管掌保険同様に他の保険者にも健康保険証または、カードに意思表示欄を設けるよう指導してください。また警察庁と話し合い運転免許証にも提供意思記入欄を設けてください。
共済組合や各自治体に健康保険証または、カードに意思表示欄を設けるよう強く指導してください。
インターネットによる提供意思の登録を広く国民に周知してください。運転免許証の裏面に意思表示欄ができるまでは運転免許交付時に、意思表示シールと説明パンフレットを必ず配布するよう警察庁に働き掛けてください。
9.小・中・高の学校教育に臓器移植を取り上げるように文部科学省に働き掛けてください。
10.身体障害者福祉法を改正し、全ての移植者を内部障害者として認定してください。
肝臓移植者は、障害者として認定を受けていません。術後も保険外治療も多く医療費負担のために、生活にも困窮している肝臓移植者が数多くいます。内部障害者に肝臓やその他の移植者も全て認定してください。
11.現在内部障害者として認定されている心臓、肺、腎臓移植者については、引き続き内部障害者として認定を続けてください。
移植者は、一生涯、免疫抑制剤を服用しなければなりません。また最低月一回の診察、検査が必要です。また約80%の移植者は、何らかの合併症があり治療を受けています。この様に移植者は、術後も継続して治療を受け続けなければなりません。今後も心臓、肺、腎臓移植者を内部障害者として認定し続けるとともに、肝臓やその他の移植者も全て内部障害者に認定してください。
12.今回の診療報酬改定で腎臓移植について腹腔鏡腎摘出術、ドナー管理料などが新たに健康保険適用されました。このことは大いに評価できますが、生体腎移植術の診療報酬がマイナス40%と大幅に削減されました。我国では、献腎移植があまりにも少なく、それを補う意味からも生体腎移植は、腎不全に苦しむ患者にとって希望であり、欠かすことができない医療です。私たちは、この様な大幅な診療報酬の削減が患者へのケアーの低下につながるとともに、移植成績の低下や移植機会の減少につながることを憂慮しています。速やかに、腎臓移植希望者がケアーの低下を被ることなく、今まで通りに移植を受けられるよう対策を講ずるとともに、次回診療報酬改定では、診療報酬を上げるよう要望します。
13.全ての移植医療に健康保険を適用してください。また保険適用であるはずの移植医療が海外で移植した場合、保険適用外になっている場合があります。速やかに調査し改善してください。
この度生体肺移植に健康保険が適用になりました。しかし膵臓・膵島移植などは健康保険が適用されていません。一日も早く全ての移植医療に健康保険の適用を認めてください。
昨年の折衝においても再度指摘したように一部保険適用であるはずの移植医療が適用外になっている事例がありました。この件について速やかに回答してください。
14.特定疾患治療研究事業によって原発性胆汁性肝硬変、特発性拡張型心筋症、特発性肺高血圧症などに医療費の助成が行われています。これらの疾病により臓器移植を受けた患者にも、助成が行われています。しかしながら都道府県によっては、移植を受けたことを理由に打ち切りを行なおうとしているところがあります。これらの移植者は、生死の境を乗り越え漸く元気になりましたが、免疫抑制剤の服用を含め生涯にわたり、治療を受け続けなければなりません。今後もこれらの患者が安心して生きて行けるよう医療助成を続けてください。
多くの移植医療に保健適用がされたとは言え、毎日の薬剤の服用と検査の費用は、移植者にとって大きな負担となります。また保険外の治療を受けざるを得ないこともあります。今後もできる限り制度を継続してくださるよう切にお願い致します
15.移植者に支給されている障害年金を少なくとも3年間は無条件で継続してください。また移植者の障害認定にあたっては、合併症などを含め総合的に判断することを周知徹底するとともに認定の指針を示してください。
総合的に判断するとの条文がありながら、ほとんど合併症は考慮されず、一律に腎移植者の年金が停止となっています。社会保険庁は速やかに調査し、改善をするとともに臓器移植者に関する新たな指針を示してください。
また1998年5月28日の全国腎臓病協議会と厚生省との折衝において腎臓移植者について移植後3年間は、支給停止にしていないとの回答をしながら、2002年の認定基準でその他欄に「臓器移植の取り扱い」の項目をもうけ、突然「移植後1年間は支給停止にしない」と変更しました。移植者の身体の状態は、術後すぐに安定するわけではありません。約80%は、何らかの合併症を患っており、精神的にも不安定な状況が続きます。またすぐに職場に復帰することが出来ません。加えて約3分1は移植直後、無職の状況です。年金が停止されることを理由に腎移植を辞退する患者も少なくありません。以前同様に障害年金を移植後3年間は無条件で支給継続してください。
16.海外での治験や治療成績を参考にするなどし、移植医療に関わる薬剤や機器の認可を速やかに行なってください。
一昨年から保険適用が認められた体内埋め込み型左室補助人工心臓ノバコアは、認可に長期間を要したために旧型となってしまい、現在では生産を打ち切られ実際には使用することができません。
現在埋め込み型人工心臓が多数開発されています。これらについても海外で治験や治療成績を参考にするなどし、認可を速やかに行なってください。また日本臓器移植ネットワークへの登録前に使用できるように保険適用してください。薬剤についても同様です。我が国においては、臓器移植の症例が少ないために治験の長期間を要します。移植医療の成績向上のためにも、できる限り海外治験の結果や成績を参考にし、速やかに認可をしてください。
17.免疫抑制薬剤の薬価基準を見直し、引き下げるとともに、移植に関する薬剤を全て保険適用とするようにしてください。
移植者は、免疫抑制剤を一生飲み続けなければなりません。最近では、制度の変更により毎年のように移植者の自己負担額は、増加しております。他の薬剤に比べ著しく高い免疫抑制剤もあります。免疫抑制剤の薬価を引き下げ、移植者の負担を減らしてください。
この度B型肝炎治療薬として広く使用されている「ヘブスブリン」が移植者にも保険適用となりました。
今後、他の薬剤につきましても 移植者に高額な薬剤費を負担させることがないよう、速やかに保険適用の範囲を広げてください。
お問い合せ先:臓器移植患者団体連絡会事務局(NPO日本移植者協議会)
〒530-0054 大阪市北区南森町2-3-20 プロフォートビル507号
TEL:06-6360-1180・FAX:06-6360-1126
E-mail:nichii@guitar.ocn.ne.jp
《このページを閉じる》