臓器移植患者団体連絡会2009年活動
臓器移植法改正に関する緊急声明 2009年5月14日

臓器移植法改正に関する緊急声明

 臓器移植法施行後、我が国の脳死下での臓器提供は、少しずつ増加をしているとは言え、年間10例前後しかなく、今まで81例に過ぎません。
 現臓器移植法には、3年を目処に見直すとの条文がありながら、すでに12年が経過しようとしています。また3年前に改正案が衆議院に提出されたにも関わらず、厚生労働委員会及び小委員会において審議が進まず参考人質疑が5度行うのに実に3年もの期間を費やしました。しかしながら今年になり、ようやく採決へ向け大きく動き出しました。
 昨年5月国際移植学会が「イスタンブール宣言」を発表し、各国における臓器の自給自足を促しました。今年1月には、WHOの理事会においても、各国が自国での提供を増やし臓器を自給自足するよう努め、それに伴い海外への渡航移植を原則的に禁止することが決議されました。そして今年5月に開かれるWHOの総会において正式に決定される見通しでしたが、豚インフルエンザの影響により、先送りされることになりました。けれども法改正に猶予が出来た訳ではありません。いま法改正が実現しても、施行までは1年あり、実際に新しい法律が適用されるのは、来年の6月になります。即ち心臓移植が必要な子どもたちや国内での移植を待てない大人の心臓移植待機患者は、変らず厳しい状況で渡航移植を目指さざるを得ないのです。
 私たちは、既にB案とC案の問題点を指摘してきました。この度D案なるものが、新たに提出されようとしています。この案は、あたかも小児移植が実現するA案の修正案であるかの如く言われておりますが、D案は、子どもを救うことが出来ないばかりか、15歳以上についても全く現状を変えることが出来ない法律です。そして、脳死を人の死としないと言うことは、まだ亡くなっていない子どもを親の承諾で死んだことにして臓器提供をしようとするもので、親に子どもの死亡宣告をさせる法律です。
 すでに臓器移植法改正のための小委員会での審議も終わり、報告書が厚生労働委員会に出されたこの時期に、D案が提出されようとしております。この場に及んで、WHOを無視し、現行法の下で起こっている諸問題への解決策にもなっていない、このような法律が出されることに、強い憤りと驚きを禁じ得ません。
 私たちは、今通常国会において、D案の提出に係わらず、現在提出されていますA案を速やかに採決されることを強く要望します。                                    

臓器移植患者団体連絡会
NPO日本移植者協議会
(社)全国腎臓病協議会
全国心臓病の子どもを守る会
胆道閉鎖症の子どもを守る会
ニューハートクラブ

臓器移植法改正を望む家族の会


お問い合せ先:臓器移植患者団体連絡会事務局(NPO日本移植者協議会)
〒530-0054 大阪市北区南森町2-3-20 プロフォートビル507号
TEL:06-6360-1180・FAX:06-6360-1126
E-mail:nichii@guitar.ocn.ne.jp

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